下腹部の痛み

下腹部に痛みがある場合、生理と関係あるかどうかは診断にとって重要となります。

生理の期間中にだけ痛み生じて、それがほぼ毎周期ごとに繰り返すのなら生理痛(月経痛)ですし、生理予定日の3日?10日くらい前から痛みが周期的に反復するなら月経前症候群の可能性があります。生理前の女性ホルモンの変動などが原因となって下腹痛だけでなく腰痛やイライラなどいろいろな症状をまとめて月経前症候群(PMS)と言います。生理と生理のちょうど中間あたりに痛みが出たときは中間期痛かも知れません。中間期痛は排卵に伴う卵巣からの出血や子宮の一時的な収縮などが原因となって起きる痛みです。

生理と無関係に生じる下腹痛の原因にはいろいろなものがあります。子宮筋腫、子宮腺筋症や子宮内膜症といった病気は初期の頃は生理痛だけですが、病気が進行すると生理のとき以外にも痛みが生じるようになります。子宮の中に細菌が感染して子宮内膜に炎症が起きたり、それが卵管や卵巣などに進行して子宮付属器炎となった場合、さらに進んで骨盤腹膜炎となった場合にも常に下腹部に痛みが出るようになります。

下腹部に突然に痛みがでたときは、妊娠に関係したものでは子宮外妊娠の中絶があります。また、卵巣のう腫茎捻転といって卵巣にできたのう腫という出来物が捻じれたときも下腹部に突然強い痛みが生じます。性行為の最中や後で突然下腹部に痛みが生じたときは、卵巣から出血している可能性が高いです。血液がお腹の中に流れだすと腹膜を刺激して痛みを生じます。

下腹痛の原因は、問診、エコー、細菌の培養検査や血液検査などで診断することが可能です。原因を正しく診断して適切な治療を行うことが大切となります。