婦人科の病気(診察・治療)

外陰部にかゆみがある外陰部にかゆみがある

この場合、オリモノにも異常があるかどうかを見分けることが重要となります。
外陰部のかゆみは膣の病気がもともとの原因でそれが外陰部にまで広がっているケースが多いからです。外陰部にかゆみを起こす膣の病気ではカンジダ(カビの一種です。)が多いのですが、その他、膣内の雑菌が増えていたり、性病のトリコモナス(原虫という虫です。)が感染している場合もあります。これらは膣の状態を診察したり、オリモノを採って顕微鏡で観察すればすぐに診断がつきます。
オリモノや膣内は正常なのに外陰部にかゆみがあるときは、下着や生理用品による皮膚のかぶれが原因となっている場合もあります。ときに毛ジラミや疥癬といった寄生虫がいる場合もあります。これらは皮膚の状態を見ただけでほぼ診断がつきます。
かゆみの原因が分かれば原因に応じた治療を行うことで治すことができます。

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外陰部に痛みがある外陰部に痛みがある

外陰部に小さい水疱や潰瘍がたくさんできて痛むときは性器ヘルペスや帯状疱疹が考えられます。
外陰部の片側だけが腫れて痛むときは、バルトリン腺炎やバルトリン腺膿瘍になっていることが多いです。
毛穴に細菌が感染して起きる毛のう炎やそれが悪化してできる癤(せつ)では陰毛のある部分に赤くて痛みのあるできものが生じます
皮膚の下にシコリが触れるときは炎症性アテロームかもしれません。
外陰部に小さい傷ができそこから細菌が侵入して膿瘍を形成すると痛みと腫れがでます。
膣炎、トリコモナス、カンジダなどによる膣炎が外陰部にまで広がって痛みが生じていることもあります。
以上は細菌、ウイルス、カンジダなどのカビの感染が原因で起きる痛みですが、感染がなくても下着、生理用品による摩擦、石鹸、軟膏、クリームなどの刺激で皮膚に炎症や湿疹ができて痛みが起きる場合もあります。
その他、外陰部には異常がないのに刺す様な痛みが長く続く外陰痛症という疾患もあります。
外陰部に痛みを起こす病気にはそれぞれ特徴がありますのでほとんどの場合、皮膚の状態を見たり、オリモノを顕微鏡で観察するだけで診断がつきます。
原因を正しく診断して原因に応じた適切な治療を行えば痛みもなくなります。

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生理痛が強い生理痛が強い

病気が原因となっている場合がありますので、まず、生理痛を起こすような病気がないかどうかを調べることが必要となります。
強い生理痛を引き起こす病気には、例えば子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮の細菌感染などによる炎症などがありますが、まれに子宮の出口の部分が狭いといった子宮の形の異常が原因であることもあります。病気が見つかれば、生理痛の治療より病気の治療を優先的に行う必要があります。
生理痛の原因となっている病気をすれば生理痛の方も解消します。
病気がないのに生理痛が生じることもあります。この場合は、子宮を収縮させて痛みを起こす作用のあるホルモン(プロスタグランディンやロイコトリエンなどです。)が原因となっている場合が多いです。生理のときこうしたホルモンが増え子宮が強く収縮して生理痛が生じます。
痛みを軽くするには、非ステロイド性の消炎鎮痛薬(痛み止めです。)や低用量ピルを使います。

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オリモノが多い・異常な色がついている・水っぽいオリモノが多い・異常な色がついている・水っぽい

オリモノに異常を感じるときは、まずオリモノを顕微鏡でみればたいていの場合、原因がわかります。
カンジダ、トリコモナス、雑菌の増加が主な原因です。
病気に応じた薬を使えば3日〜10日くらいで治ります。
オリモノを検査しても原因が分からないときはクラミジアや淋菌といった性病がないかどうかを調べます。綿棒でこするだけですので痛みはありません。
性病がないときは、子宮のさらに奥を調べたり、血液検査で感染しているかどうかを検査することもあります。このような検査しても病気がみつからないときは、おりものに異常があると感じても心配はありません。おりものには個人差がありますし、同じ人でも生理の周期によっておりものも変化しますので、病気がなくてもおりものの状態が普段と違うように感じる場合もあるからです。

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生理日でないのに下腹部の痛みが続く生理日でないのに下腹部の痛みが続く

生理とは無関係に痛みが続くときは病気が原因になっている場合が多いので注意が必要です。
妊娠の可能性があるときは、まず、妊娠をチェックする必要があります。妊娠していて下腹部に痛みがあるときは切迫流産や子宮外妊娠などに注意します。
妊娠していないのに痛みが続くときは、子宮、卵管・卵巣や腹膜(内臓を覆っている薄い膜です。)に何らかの病気がないかどうかを検査します。例えば、クラミジア、淋菌や大腸菌などの細菌が感染して子宮に炎症が生じているときやさらに感染が卵管からお腹の中にまで広がり、腹膜に炎症が起きて下腹部に痛みがでている場合もあります。
感染以外では、卵巣から出血していたり、卵巣にできた腫瘍が破裂したり捻じれたりすることでも下腹痛が起こります。
原因を正しく診断して原因に応じた治療を行うことが大切です。ただし、下腹痛を起すのは婦人科の病気だけではなく腸などの消化器や膀胱などの泌尿器の病気によって生じている場合もあります。検査しても婦人科の病気がみつからないときは、内科や泌尿器科を受診することが必要になることもあります。

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性行為のときに痛みがある性行為のときに痛みがある

痛みを感じる部位によって原因が異なります。
外陰部に痛みがある場合は、外陰部の傷、炎症、性器ヘルペス、バルトリン腺炎、生まれつき膣が狭くなっていることなどが原因となります。
膣の中に痛みを感じるときは、カンジダやトリコモナスによる膣の炎症、女性ホルモンの減少によって膣の粘膜が萎縮し膣分泌物も減少しているといった原因が考えられます。ときに膀胱炎になっているときにも性交痛を感じることがあります。
膣の奥の方やお腹が痛くなるときは、お腹の中に細菌が感染して炎症を起こしている、子宮内膜症で内臓が癒着を起こしている、子宮筋腫や卵巣腫瘍といったでき物がある場合などがあります。
しかし、こうした性交痛の原因となる病気がなくても心の問題が原因で性行痛が起きているケースもあります。例えば、性交に対する緊張、恐怖、罪悪感といったものです。
その他、性経験不足、膣の潤滑不全、膣伸展不足などによっても性交痛がでることもあります。
検査により原因を調べてから、原因に応じた治療をする必要があります。

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生理と次の生理のちょうど中間あたりで下腹部に痛みがでる生理と次の生理のちょうど中間あたりで下腹部に痛みがでる

このような痛みを中間期痛といいます。卵巣からの出血(卵巣出血)が最も多い原因です。血液がお腹の中に流れると腹膜(内臓の表面を覆ってい膜)が刺激されてとても痛いのです。
卵巣からの出血は、排卵に伴って起きる場合(卵胞出血)や排卵後に卵巣にできた黄体のう胞からの出血(黄体出血)による場合があります。
次の生理の1週間くらい前の性行為の後、急にお腹が痛くなったといったようなケースでは黄体出血をまず考えます。エコー検査でお腹の中を観察すれば診断がつきます。
多くの場合、痛み止めや止血剤を服用しながら血液が吸収されるのを待ちます。血液が減るにしたがい痛みも消えてゆきます。
ただし、頻繁に繰り返して起きるときは低用量ピルを使って排卵を抑える治療を行うときもあります。また、出血の量が非常に多いときは、手術が必要になる場合もあります。
その他、排卵期に女性ホルモンが一時的に増えることによる子宮の収縮や骨盤内の血液のめぐりが悪くなる(骨盤内うっ血症候群)ことも中間期痛の原因となります。

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予定日になっても生理がなく、下腹部に痛みがある予定日になっても生理がなく、下腹部に痛みがある

まず妊娠しているかどうかを尿検査などで確認することが一番重要となります。
妊娠していることが分かれば、妊娠と関係のある下腹部の痛みの原因となる切迫流産、流産や子宮外妊娠などの異常妊娠がないかどうかを最初に検査します。
妊娠は正常なのに下腹部に痛みがある場合には、卵巣からの出血や虫垂炎など他の病気がたまたま妊娠と同時に生じてこのような症状を引き起こしていないかどうかを調べることになります。
妊娠していない場合、生理が来ないことと下腹部の痛みはそれぞれ別の原因によって生じていることが多いので、2つの症状を分けてそれぞれの原因を検査して調べてゆきます。
以上のようにして原因を調べて原因に応じた治療をしてゆくことになります。

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生理でないのに出血がある(不正出血)生理でないのに出血がある(不正出血)

まずどこから出血しているのかを確認することが重要となります。不正出血といっても、必ずしも子宮から出血しているとは限らないからです。尿道口、外陰部、膣、肛門から出血していることもあります。
子宮からの出血であることが確認できれば、次にその原因を調べます。
妊娠の可能性があるときは尿検査で妊娠をチェックします。妊娠でなければ、子宮に異常がないかどうかを検査します。子宮に細菌が感染して炎症を起こしていたり、子宮筋腫やポリープといった腫瘍があれば不正出血の原因となります。
特に子宮がんを見逃さないことが最も重要となります。
低用量ピルや血を固まりにくくする薬も不正出血を起こすことがあります。
検査したけれど上記のような原因が見つからなかった場合には、機能性の出血といって女性ホルモンが原因となっていることが考えられます。
機能性出血の場合は出血の時期や仕方によりある程度、原因が予想できます。
例えば、出血が少しずつダラダラと続くときは排卵していない、生理が始まる前に下着や生理用品に点々とした出血がつくときは黄体の機能の低下、生理の期間が長かったり、生理が終わったと思ったら数日でまた生理が始まったといった場合は黄体がなかなか消失しない黄体存続といったものが考えられます。
生理と次の生理の中間の日あたりに少し出血して数日で止まったときは、中間期出血といって排卵期の一時的な女性ホルモンの減少によることが多く、これは病気ではありませんので治療は不要です。

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生理が遅れていて、数日前より性器から少し出血がある生理が遅れていて、数日前より性器から少し出血がある

まず妊娠しているかどうかを尿検査でチェックすることが重要となります。
妊娠していれば、超音波等で検査をします。切迫流産、流産や子宮外妊娠などは不正出血の原因となります。
妊娠でないときは、外陰部、膣、子宮の入り口や子宮の内部に炎症、傷、腫瘍などがないかどうかを調べます。とくに子宮の入り口付近から出血しているときは念のため細胞をとって癌のような悪性の病気がないことを確認することが重要となります。
妊娠や病気がないのに出血があるときは、卵巣から排卵しないこと等による女性ホルモンの異常が原因となっている場合が多いです。
原因が分かれば、それぞれの原因に応じた治療を行います。

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性行為のあとで、少し出血があった性行為のあとで、少し出血があった

まずどこから出血しているかを確認する必要があります。
外陰部や膣壁の炎症、びらん、潰瘍や腫瘍は出血の原因になります。特に子宮の入り口付近から性交のときよく出血があるといった場合は子宮頚がんの検査を受けることが大切です。
良性の腫瘍では子宮頚管ポリープといった良性の腫瘍も出血の原因になります。

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生理前になると体調がよくない生理前になると体調がよくない

生理の数日前からイライラする、のぼせる、下腹部にはりや痛みがでる、腰痛、頭痛や頭が重い、怒りっぽくなる、乳房に痛みがでる、落ち着きがなくなる、むくみがでて体重が増えるといった色々な精神や体の不調がでて、生理になると症状が軽くなったり、なくなってしまうことがくり返して生じる場合があります。
月経前症候群と呼ばれるものです。
今でも原因ははっきりとは分かっていませんが、女性ホルモンの一つであるプロゲステロンやその代謝産物が脳内の神経伝達物質であるセロトニンを減少させてしまうことが原因ではないかと言われています。どのような症状が主であるかによって治療方法も異なります。精神安定剤や低用量ピル、中用量ピルを服用したり、ときには漢方薬を用いて治療することもあります。

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いままで順調だった生理がこなくなったいままで順調だった生理がこなくなった

まず尿検査で妊娠していないかどうかをチェックする必要があります。
妊娠していないのに、3ヶ月以上も生理が来ないといったような場合は検査で原因を調べて治療する必要があります。血液検査で女性ホルモンの値を調べたり、女性ホルモン剤を服用して生理になるかどうかをみることによって原因を診断します。
そして、原因が分かれば原因に応じた治療をします。

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生理の量が多い生理の量が多い

子宮に筋腫ができていたり、子宮の内膜が異常に厚くなっている場合やまれに子宮体がんが原因となっていることがあります。
また、女性ホルモンの異常で生理の量が増えていることもあります。
他の病気の治療のために服用しているお薬が原因となっている場合もあります。
問診で症状等についてよくお話をうかがい、超音波検査、ホルモン値の測定、細胞診などの検査により原因を調べます。
そして原因に応じた治療が必要となります。

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生理の量や期間が極端に少ない生理の量や期間が極端に少ない

生理の量が少なく生理の期間も2日以下に短くなっていることが多いです。
子宮の発育が不十分で小さい、妊娠中絶の手術を受けた後遺症といった子宮自体に原因がある場合や子宮は正常でも女性ホルモンの異常によっても起きることもあります。
原因に応じた治療が必要ですが、年齢が18歳未満や45歳以上で更年期の方の場合は治療の必要でないこともあります。

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生理と次の生理の間隔がばらばらで不規則生理と次の生理の間隔がばらばらで不規則

生理がいつ来るか分からないといったように生理がばらばらの場合は、排卵のリズムが乱れている排卵障害の可能性があります。
精神的ストレス、生活環境の変化や急激な体重減少が原因となっていることが多いです。
その他、多のう胞卵巣といった卵巣の病気が原因であることもあります。血液検査で女性ホルモンの値を調べたり、超音波検査をして原因を調べます。
女性ホルモン剤で生理を規則的に起こしたり、排卵を促す薬を使って治療します。
ただし、18歳未満でまだ月経周期が十分に確立していないときや45歳以上の更年期になって卵巣機能が自然に低下している場合には、治療が不要のこともあります。

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生理がなかなか終わらない生理がなかなか終わらない

排卵がないときは出血がだらだら続くことが多いのですが、この場合は生理ではなく不正性器出血と呼ばれます。
排卵後にできる黄体は通常、2週間くらいで消失するのですが、それ以上経っても消失しない黄体存続といった場合にも生理が長くなります。
その他の原因としては低用量ピルの副作用としてもみられます。
低用量ピルを初めて服用したときや体調不良や下痢などでピルの吸収が低下しているときなどによく見られます。

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生理と次の生理の間隔が短い生理と次の生理の間隔が短い

生理の間隔が24日より短いときは、卵巣からの排卵がスムースにゆかないことや、排卵しても排卵後に卵巣にできる黄体という女性ホルモンをだす組織の十分に機能していないことが原因であることが多いです。
ただし、生理の間隔が短いといっても18歳未満の思春期や45歳から55歳くらいまでの更年期にあたる時期には病気がなくても生理の間隔が短いことがあります。
この場合には治療は必要ではありません。思春期から大人の体が完成すれば、生理の間隔も正常になりますし、更年期にある方ではやがて閉経となるからです。
上記以外の時期であるのに、生理の間隔が短いときや、いままで正常な間隔であったのに短くなってきたような場合には、一度、排卵がうまくいっているかどうか検査された方がよいでしょう。
検査は採血してホルモンの値を調べたり、超音波で卵巣を検査したりします。
何らかの異常が見つかれば、原因に応じた治療を行います。

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生理と次の生理の期間が長い生理と次の生理の期間が長い

生理と生理の間隔が39日以上あるときは、卵巣からの排卵がない、排卵するまでに時間がかかるとった排卵がスムースにいっていないことが原因の場合が多いです。
採血をしてホルモンの値を調べたり、超音波検査で卵巣の状態をみれば原因が分かります。
治療としては、女性ホルモンを服用して、生理の間隔を調整したり、その他、原因に応じた治療をします。
ただし、18歳未満の方や45歳から55歳といった更年期にある方の場合は治療はせず、そのまま様子をみることもあります。

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更年期障害更年期障害

45〜55歳を更年期といい、卵巣機能が衰えに環境や性格的な要因が加わって顔のほてり、のぼせ、冷汗、腰や手足の冷え、動悸、不眠、イライラ、抑うつ、頭痛、めまい、悪心、疲れやすい、肩こり、腰痛、手足の関節の痛みなどのいろいろの症状が起こります。
しかもこれらの症状が時間とともに変化するのが更年期の特徴です。
女性ホルモン剤、漢方薬などでの治療が必要となります。

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