性器ヘルペス

主に性交で単純ヘルペスというウイルスが性器に感染して発症します。単純ヘルペスウイルスには1型と2型の2種類があるのですが、性器ヘルペスに初めて感染する場合は2型がほとんどです。1型は性器ヘルペスとしては少ないですが、感染すれば重症化しやすくなります。性交以外にもときに指やタオル、食器などを介した間接的な感染もあります。
感染力が強いので病変部は触らない、触ってしまった場合は手洗いをするなどの注意が必要となります。ヘルペスに感染していても症状がなければ性行為は可能です。ただし、無症状であってもウイルスの排出はあるとう報告があります。

ヘルペスウイルスに感染しても80?90%は不顕性感染といって症状が現れません。したがって、ほとんどの人は自分がヘルペスに感染したことに気がつきません。しかし、初感染で症状がでるときは、3?7日くらいの後に比較的重症の症状がでることが多いです。一般的には外陰部、膣、子宮膣部に痛みのある小さな水疱、びらん、潰瘍が左右対称的にたくさん生じます。また、熱が出て全身がだるく、脚の付け根のリンパ節が腫れて痛みがでます。痛みの排尿や歩くことが困難になることもあります。再発の場合も水疱、びらん、潰瘍が生じる点は初感染の場合と同じですが、症状はずっと軽いです。発症の前触れとして外陰部に違和感がであたり、太ももの裏に神経痛のような痛みがでることもあります。何度も再発を経験している人では前触れだけでまもなく発症すると分かることがあります。外陰部に潰瘍ができる梅毒、軟性下疳やベーチェット病といった病気も外陰部に潰瘍ができますが、それぞれの潰瘍には特徴がありますので、ほとんどの場合、問診と視診だけでヘルペスと診断がつきます。それだけでは診断がつかないときは抗原検査をすれば診断を確定することができます。初めての感染なのか再発したものかを知りたいときは血液検査でヘルペスの抗体を調べると区別できます。

治療はウイルスに有効な抗ウイルス剤を5日間くらい使います。神経に潜伏して再発するのがヘルペスの特徴なので疑いのあるときは慢性化させないために早期の治療が必要となります。ほどんどの場合、飲み薬や軟膏での治療となりますが、発熱があって痛みで歩行や排尿が困難になるほど重症であったり、項部が硬直して頭痛があるといった髄膜炎の疑いがあるような場合は、入院して点滴で治療することが必要な場合もあります。但し、神経節に潜伏しているウイルスには薬が効かないので、完治させることはできません。

ヘルペスは他の性病と異なり、いったん感染すると治療しても完治することはなく腰仙髄神経節というところに潜伏し、性交、月経、妊娠、免疫力低下(疲労、心身のストレス、抗癌剤、ステロイド剤等)の誘因があると腰仙髄神経節に潜伏していたウイルスの活性化して再発が生じる可能性があります。再発するのは2型のウイルスに感染した場合で1型ウイルスでは再発はありません。再発の予防には、再発の前ぶれの症状(外陰部の違和感や大腿部の裏側に神経痛の様な痛み)が生じた段階で薬を飲み始めたり、症状がなくても普段から抗ウイルス薬の継続して服用する方法がありますが、再発を完全に予防することはできません。